第4回館山南房総認知症市民フォーラム

平成26年6月22日(日)、南総文化ホール(千葉県館山市)にて南総認知症研究会主催「館山南房総認知症市民フォーラム」が行われました。

今年で4回目を迎えるこの市民フォーラムは、当法人理事長田中耕一もメンバーとなっている、館山市・南房総市の認知症専門医や医療関係者の有志による南総認知症研究会が毎年行っています。

全国的にも特に高齢化の進む館山・南房総地域において、認知症への正しい理解とケアの在り方を多くの方々にお伝えするため、広く市民の皆様を対象に開催しています。

開催内容

  • 概要
    • 館山南房総認知症市民フォーラム
    • 期日:平成26年6月22日(日)
    • 時間:13:00~16:00
    • 場所:南総文化ホール(千葉県館山市)
  • 講演「明日から使える医療と福祉」
    袖ヶ浦さつき台病院 認知症疾患医療センター長 細井 尚人 先生
  • パネルディスカッション「認知症ケアについて~こんなときどうする?」
    事例映像を見ながら、専門の医師や居宅介護支援の専門家が細かく丁寧に解説

    • 司会進行
      医療法人社団 慶勝会 理事長 田中 耕一 先生
    • パネリスト
      • 医療法人社団 桂 七浦診療所 理事長 田中 かつら 先生
      • 館山市ケアマネジャー連絡協議会 長嶋 祐一 氏
      • 館山市地域包括支援センターなのはな 吉田 南子 氏
      • 館山市地域包括支援センターたてやま 野口 雄一 氏
      • 【動画】パネルディスカッションの様子(YouTube)
    • 質疑応答~会場からの質問コーナー
      引き続きパネリストの皆さんが直接質問にお答えします。
      当日寄せられた質疑応答の一部を下記に掲載いたします。是非ご覧ください。
    • お問い合わせ先
      南総認知症研究会事務局(エーザイ株式会社内) TEL:043-241-7361
    • 共 催
      南総認知症研究会 / エーザイ株式会社
    • 後 援
      安房医師会 / 館山市 / 南房総市 / 館山市社会福祉協議会 / 南房総市社会福祉協議会 / 館山市地域包括支援センターたてやま / 館山市地域包括支援センターなのはな / 南房総市地域包括支援センターアイリスの里 / 南房総市地域包括支援センターリブ丸山 / 館山市ケアマネジャー連絡協議会 / 南房総市介護支援専門員連絡会 / 館山市ヘルパー事業所連絡協議会 / 館山商工会議所 青年部 (順不同)

質疑応答(一部掲載)

Q1. 制度改正による地域福祉については、地域全体が高齢化のためボランティア頼みには限度があるでしょう。またボランティアの知識も必要と思われます。介護認定も厳しくなり、互助の必要性が大きくなると思いますが、どうでしょうか?

回答:袖ヶ浦さつき台病院 細井尚人先生(以下、細井先生)
北海道では有償ボランティアを実施するNPOがあるなど、全国的にも様々な試みが行われています。地域毎に背景の違いはありますが、例えば、過去に介護経験を持つ方々や認知症サポーター資格を持つ方々に協力してもらって有償ボランティアを組織するなど、地域を挙げて互助の体制を作ってゆければ良いと思っています。

Q2. 徘徊の対策について、国や行政、かかりつけ医はどんな取り組みを考えていますか?

回答:七浦診療所 田中かつら先生(以下、田中かつら先生)
徘徊の対策としては、「ご近所さん」のお力が重要だと思います。医療として直接関わるのは難しいですが、ご家族、地域のケアマネ、そしてご近所さんが協力し合える関係を維持出来る様な支援をしてゆければと思っています。

回答:細井先生
君津市では防災訓練ならぬ徘徊の対策訓練を始めています。徘徊する方を仮想して町の人が声を掛ける、といった活動です。またある自治体では、個人情報保護ならぬ個人情報開示の条例を設けるなどしています。

Q3. 軽度認知症とは、どんな状態ですか?

回答:田中かつら先生
厳密には、「軽度認知症」という言葉は2つに分けて考えるべきでしょう。

  1. 軽度認知機能障害(MCI):記憶の障害のみで日常生活には困らない状態
  2. 軽度の認知症:記憶の障害と共に日常生活にも支障がある状態

日常生活に困らないけれど記憶の障害がある状態をMCIと呼びます。日常生活に支障を来すと認知症と診断されます。MCIが端的に記憶機能のみの障害であるのに対して、認知症を患うと、何か指示や依頼されなければ何もしない、自発的に行動しない状態になります。

Q4. 軽度認知症になると、外出しない、お風呂に入らない、といった症状が見られますか?

回答:田中かつら先生
前述の回答の通り、外出しない、お風呂に入らないなど、自発的に行動できず、日常生活に支障が見られる場合は認知症を疑っても良いかも知れません。

Q5. 自分も認知症にかかり始めたかなと思うのは、最初の段階はどんな症状で分かりますか?

回答:細井先生
通常は、自分自身で自覚症状を感じる事はあまりないでしょう。例えば、同じ事を何度も喋ってしまっていたり、同じ物を何度も続けて買ってしまったりする様子に家族や子供の見る目が変わる、そうした周囲の目・雰囲気の変化や違和感を、敏感な方ならば察知して気づくという事はあるかも知れませんが、通常はあまりないと思います。

回答:田中かつら先生
自分ではちゃんとやっているつもりでも、子供や家族に怒られる事が増えて来て、そこから「今まで出来ていた事がなんとなく出来なくなってきた」と実感し始める方もいます。

Q6. 家族のどんな様子から認知症を疑えば良いですか? よくある例があれば教えて下さい。

回答:館山市地域包括支援センターたてやま 野口 雄一 氏(以下、野口氏)
私達もご自宅に伺う事が多いのですが、外では綺麗な服装でも自宅では片付けが出来ていない、また事例映像でも紹介された様な”冷蔵庫”の例など、必ず認知症とは限らないけれど、何等か問題があるのだろうと思いながら対応させていただいています。ご自宅において、通常出来ていた事が出来なくなっている様子が見受けられる場合は注意して関わる様にしています。

回答:館山市ケアマネジャー連絡協議会 長嶋 祐一 氏(以下、長嶋氏)
事例映像は例がとても分かりやすかったと思います。また例えば、今まで読んでいた新聞を急に読まなくなる、または一日中新聞を読んでいる、といった様な変化が見受けられた方もいます。いつも大相撲を見ているのに力士の名前が急に言えなくなる、好きだった時代劇を急に見なくなるなど、生活の中で何か止まっている部分、滞っている部分が見受けられる時は心配に感じます。

Q7. 認知症を診てもらうには、どの診療科に行けば良いですか?

回答:細井先生
認知症者を積極的に診られている先生がいれば、どんな科でも構わないと思いますが、頭の中の問題なので神経内科、精神科、脳神経外科といったところでしょうか。ただし、脳神経外科は外科的処置に限られるケースがあります。まずは医療機関にあらかじめお電話してご確認いただくのが良いかと思います。

回答:医療法人社団 慶勝会 理事長 田中 耕一 先生(以下、田中耕一先生)
認知症に対応する医師がいれば、基本的にはどんな診療科であっても問題ないと思います。またエーザイが運営する”e-65ネット”というホームページでも、認知症を扱う全国の医療機関や医師を検索できるので、そちらを利用されても良いと思います。

Q8. 本人に認知症の自覚ない場合、どうやって声をかけて病院に連れて行けば良いですか?

回答:野口氏
まずは主治医や信頼できる医師への相談が一番ではないでしょうか。

回答:長嶋氏
近所や地区の会長さんや長老さん、友人など、その方が”この人に言われると弱い”という方たちに協力していただく事があります。また、事例映像でもありましたが、”他の病気で先生が心配しているから行こう”などと言ってお連れするなどしています。

回答:田中かつら先生
専門医や認知症サポート医など専門家もいますが、まずはいつものかかりつけ医に相談するのが一番だと思います。

回答:田中耕一先生
総合健診の時期に合わせて、”健診に行こう”と言って連れて来ていただくケースもあります。

Q9. 覚えていない事を指摘するのは、本人にとっていけない事ですか?

回答:細井先生
指摘するのは悪い事とは思いませんが、訂正しようとするのは互いにとって問題になるかと思います。何度も「その話、聞いたよ」と言われ続けると本人も悲しくなり、その悲しさが怒りになっていってしまう。要は、覚えていない事の指摘の仕方だと思います。正そうとする様な指摘は良くないと思います。

Q10. 薬をケースに朝夕に別けて1週間ずつ入れていますが、本人が手元にないと不安になり、自分で持ってしまい心配です。要介護1なのですが・・・

回答:長嶋氏
訪問介護(ヘルパー)やデイサービスの職員に協力してもらうのも一つだと思います。確認をどの様に行っていくかが問題になると思いますので、ご家族にも協力してもらうのも大事だと思います。
薬の内容によりますが、朝夕に分かれている薬を一本化できないか、など主治医に相談してみても良いかと思います。

Q11. 80歳の祖父が、軽度認知症と思われる症状(日付をよく忘れる。薬の管理ができないなど)があります。病院に連れて行くか迷っています。認知症と診断されることによる自信喪失などの精神的ショックなどのデメリットと薬や助言などのメリットを比較するとどちらが良いですか? 医者にかかることのメリットやデメリット、またそれに伴った対策などを教えて下さい。

回答:田中かつら先生
軽度のうちにこそ医療が関わるべきだと思います。ご本人もご家族もショックだと思いますが、早いうちに認知症という診断をもらう事が大事だと思います。初期であればご本人にもまだ物事を決定する能力が残っているので、今後の要望、どんな医療を望むか、どんな人生を望むかといった意思表示ができ、またご家族もそれらを受け入れられると思うので、やはり早いうちに診断されるのはメリットだと思います。また、医療機関を通じて今後の様々な情報を得られるし、介護へもつなげてゆける、また治療により進行を遅らせて普段の生活を送っても行ける、そうした事を受けられるうちに受けた方が良いのではないでしょうか。症状が重くなってから来ると、ご本人の意思を聞けなくなってしまうので、やはり早期が良いでしょう。

回答:田中耕一先生
認知症も病気の一種である以上は、”早期発見・早期治療”が良いのではないでしょうか。なお告知に関して、私はご家族が希望した時のみ、としています。

回答:細井先生
私は「あなたは認知症です」といった直接的な告知はしません。状態を伝える様にしています。「物忘れの病気が始まっているらしい。これ以上進めないためにも、介護サービスを使いましょうか、お薬を使っていきましょうか」という風にしています。
「あなたは認知症ですね、はい、この薬を飲みましょう」では告知ではないと思いますし、しっかりとその方と関わってゆくためにも、状態や内容をご説明して、今後共に取り組んでいく事などをお話する様にしています。

Q12. 認知症カフェを館山で開きたいが、手続きなどを教えて下さい。

回答:田中耕一先生
とてもありがたいお話です。認知症カフェは有効だという事はすでに実証されていますが、なかなか開くのは難しい様です。私が調べた限りであり、これが全ての正解という訳ではありませんが、館山市に関しては、市長公室社会安全課自治振興係がコミュニティ活動などの問い合わせを受けているそうですので、そちらの窓口かもしくは同じく市の高齢者福祉課にご相談してみていただければと思います。
または、館山市地域包括支援センターへお問い合わせいただいても良いかと思います。

  • 館山市地域包括支援センターたてやま TEL:0470-22-1122
    担当地区:北条・館野・九重・那古・船形
  • 館山市地域包括支援センターなのはな TEL:0470-22-1350
    担当地区:館山・豊房・西岬・神戸・富崎

Q13. レビー小体型認知症について詳しい説明をお願いします。

回答:細井先生
最近注目されていて、あたかも新型の認知症の様にメディア等で取り上げられていますが、私は、あくまで認知症の一つのタイプであって、特別な治療法があるとか、そうしたものではないという事を皆さんに覚えておいていただきたいと思います。この病気だから特別な対応や治療が必要であるとか、そうした事はありません。

あくまで、ケアの対象となるいくつもの認知症のタイプの一つです。その特性を知っておく事は、その認知症の方が取る言動に対して驚いたり慌てたりせずに対応出来る様になる、という程度の事です。
最近一般の方々や介護現場の介護職員さん、ケアマネさん達とお話する時も、今までとは全く違うすごく特別な認知症があって、特別な治療やケアが必要だとか、暗い所で生活しなくてはいけないとかよく話題になるのですが、決してそうした事はなくその他の認知症と大きく異なるものではありませんし、日常生活の中で”確かに聞いた通りの症状が見られたな”と認識される、その程度に考えておくべきものと思います。

回答:田中耕一先生
レビー小体型というと幻視という症状が現れやすいと言われますが、じゃあ”幻視と言えばレビー小体型”かと言えばそうではなくて、アルツハイマーでも幻視の症状が見られる場合もあります。

回答:田中かつら先生
確かにレビー小体型の方は、幻視の頻度が高いしまたそれを翌日までも覚えていて、外来でもそうしたお話をよくされます。

教科書的に言えば、パーキンソンの様な症状や、血圧が急に下がる様な自律神経障害の症状が見られたり、また便秘がひどかったり、と合併しやすい全身の病気の一つと言われていますが、そうした症状全てが現れる様な方は少なく、幻肢が有ったり無かったり、認知機能障害も良かったり悪かったりと、変動する状態にある方が多いという印象です。

回答:田中耕一先生
この場では時間に限りもありこの程度の説明となってしまいますが、最近は色々な資料もありますのでそちらをご覧いただくか、また今後このフォーラムでも取り上げてゆければと思います。

「第4回館山南房総認知症市民フォーラム」への2件のフィードバック

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